神道いのちを伝えるを読んだ感想

神道のこころ、に続き本書を読んでみた。

本書は日経新聞の確か土曜版か日曜版のある会社の経営者が経営型立ち行かなくなった時に読んだ本として推薦されていた。また当方も日本人の生活に馴染みのある神道に興味を持ったため読んでみた。

・人間が生きていくためには、循環が大切である

  例えば化石燃料の石油は土に還らないが、化石燃料に依存する生活は、資源を一方的に使うのみで循環しないため立ち行かなくなる。確かに現在、ようやく人類の危機にあることに気づいて、循環型の社会が求められていることにつながる考え方だと思った。

  また漁業資源を保つためには、養殖するだけではダメで、森を守り豊かにすることが大切だと言われているが、ここにも森と海との間の循環がある

・人の幸せを願って生きること

  自分の幸せだけを願って生きるのではなく、周りの人のためを思って生きると長続きする。植物は自分だけが生きるのではく、動物に果実を与えたり、自信が枯れても土の養分になるなど支え合うから絶滅しない

・全ては見方次第で変わる

  何か思うようにいかず困った時でも、さらに悪かった時のことを思えば、幸せに思える

・怪我が病気を経験して、その経験を前向きに捉えて克服した人が成功している。病気や怪我を嘆いているだけではうまくいかない

・陰徳を積むこと

  普段から神仏や先祖に感謝することが大切。七五三は神に成長させていただいたことに感謝し、着飾ることで神に喜んでもらうためのもの。祭りも神に喜んでもらうためのもので自分達が楽しむためのものではない。

・自分以外のために行うものは残る

  祭りで行われる猿楽や田楽は、昔シルクロードを経由して日本に入ってきた文化だが、日本人は神に感謝して喜んでいただくものとして捧げた。このため発祥の地では猿楽などは残っていなくても、日本では残った。

・歴史を学ぶことが大切

  歴史には先祖の行いを残したもので知恵である。例えば戦争はいけないことを、単にいけないことというだけではなく、戦争しても何もいいことが残らなかったということを理解できれば戦争はしなくなる。


日本人は、神の恵みと先祖の恩により生かされていることを感謝する生活を送ってきた。また日本人は自分のためではなく、神に感謝して喜んでいただくことをよしとして生きてきたこと、他の神を否定せず八百万の神として受け入れて、共生したきたことが書かれている。

このような考え方は、例えば奈良で野生の鹿と人間が共生しているように、日本人の精神性に根付いているのだと思った。

このような精神性を子孫に繋いで、神や先祖に感謝することを通じて、助け合って共生することが大切であると書かれている本であった。