絶望名人カフカの人生論の感想

本書の冒頭にも書いてある通り、自分がまいっているときは元気づけるような言葉ではなく、一緒に底まで降りていってくれるような言葉が必要なときはある。

挫折や失敗をしたことがない人からすると、後ろ向きな言葉なんて不要だと言われるかもしれないけど、人間前向きなときだけじゃない、底まで落ちていってじっと耐え忍ぶ時が必要な時もあるんだって思う。

それにしてもカフカさんのマイナス思考は凄い。病気の負のエネルギーが時に天才的な成果に繋がるとは聞いたことがあるけど、カフカさんの作品が傑作と言われるのも、この負のエネルギーが源になっているのかも知れない。

自分はカフカの作品は読んだことがないので、ぜひ読んでみたいと思った。あと親友や恋人に見放されなかったことを思うと、カフカさん自身は周りの人に対して親切で優しい人だったんじゃないかと思った。

あと本書で印象に残っているのは、カフカさんが保健組合で働いているときに、足を怪我した人に保険金が支払われるように尽力したことだ。このことで会社からも評価されたらしい。

自分が深く苦しんだことは、困った人の気持ちを想像し共感できる能力を身につけることにつながったのではないかと思う。

人間はやはり苦しんだり辛い経験をすることで、人に対して優しくできるのだと思う。

人の上に立つ人には、人の苦しみや痛みが分かったり、少なくとも想像できる能力は必須だと改めて思った。